アドラーと脳から考える「怒り」

前回のアドラーと内田樹さんから思うプロジェクトマネジメントに続き、『嫌われる勇気』から学びを深めたいと思います。

初めて『嫌われる勇気』を読んだ2013年はITベンチャー会社で新規開拓の営業をしていました。今回はプロジェクトマネージャーとして読み新しい学びがあった為、共有したいと思います。

プロジェクトマネージャーをしている方々の参考になると嬉しいです。

 

結論

  • 怒りに頼らないコミュニケーションを行う
  • とは言え、怒りを感じる場所からは少しずつ立ち去る

 

怒りに頼らないコミュニケーションを行う

 

あなたは「怒りに駆られて、大声を出した」のではない。ひとえに「大声を出すために、怒った」のです

『嫌われる勇気』の第一章に書かれている印象的な言葉です。

まず目的があって人の感情が決まるというのがアドラーの考え方で、過去の原因によって今の感情が決まる原因論とは逆です。そこで具体的に怒りを感じる場面を想像してみました。例えばミーティングで誰かが感情的になる場面があります。私が感情的になる場合もあります。原因論で考えてみると、誰かが好ましくない発言や的外れな発言をすると怒りが現れます。

とは言え、好ましくない発言や的外れな発言を聞くと常に怒りが出てくるわけではありません。飲み会で友達に失礼なことを言われても、怒りは不思議と出てこず一緒に笑えます。

二つの場面の違いをプロジェクトマネージャーとして考えると、その違いは急いでいるか/急いでいないかに行き着くことが分かりました。もし担当プロジェクトのスケジュールに余裕があるなら、誰かの作業が遅延しても特に怒りの感情は現れません。むしろ、その人の成長に丁度良いすら思います。しかし、もしスケジュールがタイトな中で誰かが遅延すると、怒りを感じ、相手を責める気持ちが生まれます。

怒りとは出し入れ可能な「道具」

怒りが生まれるか否かの違いは、急いでいるか/急いでいないかの違い。部署が忙しいほどに雰囲気も悪くなります。

わざわ大声を出さなくても、言葉で説明すれば

これからは怒りを感じた時に「怒りの理由はミスをした相手ではない。急いで進めたいと思う自分だ」と考え、怒り以外のコミュニケーションを模索したいと思います。もし焦らず建設的に丁寧に説明したところでその後のスケジュールに大きな影響はないでしょう。

 

とは言え、怒りを感じる場所からは少しずつ立ち去る

 

しかし、本当に怒りは目的を達成する為だけの出し入れ可能な道具なのでしょうか?

脳科学で考えると怒りは脳内の「大脳辺縁系」という感情や本能を司る部分で発生するそうです。大脳は大きく「大脳新皮質」「大脳辺縁系」「脳幹」で構成されてい、大脳新皮質は思考や判断などの「知性」を司り、大脳辺縁系は意欲や情緒といった本能に近い「感情」を司り、脳と脊髄を結ぶ脳幹は「生命維持」を司ります。

そして、怒り等の感情が生まれる時は大脳辺縁系が活発に動くそうです。大脳辺縁系は、人以外の動物も共通して持っている原始的な部位です。つまり、怒りは私たちが古来から身に着けた生存する為の本能でもあるようです。だとすると、怒りを感じるたびに「怒りは目的の為に出し入れ可能だ。違うコミュニケーションをするのだ」と考え、忍耐し続ける事は身体が発する生存のメッセージに反します。

思い返せば、これまでの生活で怒りを感じたのは難しい場面や職場でした。精神的な病を抱える方も多く、毎月のように退職者の出る職場でした。たしかに怒りは目的を達成する為の道具かもしれませんが、生存へのサインでもあるようです。怒りを感じる場所では感情に身を任せることをせず対話で問題を乗り越えながらも、少しずつ確実にその場から離れていくよう工夫をしましょう。

まとめ

 

怒りの感情が出てきたときは、「自分は怒りたいのではない、今急いでいて、早く物事を進めたいだけなのだ。怒り以外の方法を見つけよう」と考え、プロジェクトマネージャーとして真摯的に何度でも伝えていきましょう。

一方で、怒りは脳が発する生存本能でもある為、コンスタントに怒りを感じる場合は少しずつその場から離れる工夫をしましょう。

本日もありがとうございました!

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